動物病院に勤めていればいつかは出くわすであろうエマージェンシー。
患者が来院してからの流れは、大筋は変わらないにしてもやり方や手順は各病院さんいよって異なっています。
それもそのはずで、獣医療全体で決まったガイドラインというものが実はなかったのです💦
しかし、数年前にようやくガイドランとなるものが出来上がり、救急病院ではこのガイドラインに沿って治療が行われています!
このブログを見ればその心肺蘇生の基本をおさえることができます(`・ω・´)ゞ
獣医療に携わる以上いつどこで出会うかわかりません。
このブログでしっかり知識を身に着けておきましょう!
CPRとは?
CPRとは心肺蘇生のことです!
動物看護師をしていれば誰しもが1度は遭遇したことがあるCPA(心肺停止)。
この時に行うのがCPR(心肺蘇生)です!
CPAとかCPRとか、CRT(毛細血管再充満時間)とかCRP(C反応性たんぱく)とか…
ややこしいものがたくさんあるので間違って使わないように気を付けましょう(`・ω・´)
RECOVERとは?
RECOVER(Reassessment Campaign on Veterinary Resuscitation)は獣医蘇生再評価運動のことであり、2012年にこのRECOVERガイドラインというものがつくられました。
獣医療のエビデンスに基づいて作成されているため
- いつもやっているから
- 先輩もやっていたから
- とりあえずやっておいた方が良さそうだから
というような曖昧な指標ではなく、どこの動物病院でエマージェンシーに遭遇しても恥ずかしくない方法です(=゚ω゚)ノ
詳しくはRECOVERの公式ページをご確認ください!
CPRの目標
CPRを実施する目的はもちろん”後遺症無しでの生存退院”です!
エマージェンシー状態から後遺症も残らずに生存した状態で帰ることができるのが最終目標です。
しかしCPRを行ったすべての患者がこの最終目標に到達できるかというと残念ながらそうはいきません。
それにこの目標では序盤はハードルが高すぎるため、まずは初期の目標を設定します(゚Д゚)ノ
それがROSC(自己心拍再開)です!!
エマージェンシー状態の患者に対してCPRを実施し、まずはROSCを目指して処置を行っていきます。
そしてROSCできたらまた次の目標を設定し、その目標を達成すべく処置を行っていくのです(*‘ω‘ *)
ただし、現実は厳しいものです…
特にCPAになったのが院内なのか院外なのかでも結果が大きく変わります💦
ROSCとは?
ROSC(自己心拍再開)の定義はというと…
心肺停止状態から頸動脈あるいは上腕動脈の脈拍が触れるようになった場合
日本救急医学会 https://www.jaam.jp/dictionary/dictionary/word/0309.html
ヒト医療ではこのように定義されています。
つまり基準は心拍ではなく、脈拍が確認できることなのです(=゚ω゚)ノ
獣医療の場合は以下のような変化が起こった時にROSCしたと判断することができます!
- 脈拍の確認
- ETCO₂の急激な上昇
- ECG上での洞調律
特にわかりやすいのが『2.ETCO₂の急激な上昇』です!
CPR実施時にはETCO₂をよく確認しておきましょう(・ω・)ノ
CPRの流れ
ではCPRの流れについて一緒に確認していきましょう!
CPRは大きく分けると2つに分類することができます。
1つ目がBLS(Basic Life Support)= 一次救命処置
2つ目がALS(Advanced Life Support)= 二次救命処置
BLS(一次救命処置)には心臓マッサージと人工呼吸が含まれます。
一次というだけあって、CPAの時に最優先される処置です!
基本的には院内で行うと思いますが、このBLSは病院以外の場所でも実施することが可能です(・ω・)ノ
ALS(二次救命処置)には気管挿管、モニタリング、薬剤投与、電気的除細動が含まれます。
二次とはなっていますが可能であるならばBLSと同時に処置が開始できるとgoodです(=゚ω゚)ノ
まずはBLSを優先しつつ、ALSも同時進行できるようにしていきましょう!!
CPAを見極める!
ではCPRの手順に進む前に…
CPA(心肺停止)状態をどう判断するかを確認しておきましょう!
正しくCPAを判断することができなければCPRに進むこともできませんからねΣ(・ω・ノ)ノ!
みなさんも分かってはいるかと思いますが、まず第一にCPAに早く気付くことが大切です!!
それは何故かというと…
CPA状態でCPRの開始が1分遅れるごとに蘇生率は7~10%も低下すると言われています💦
さらに、低酸素状態が5分継続すると脳に不可逆的なダメージが生じます💦
よって「後遺症無しでの生存退院」を目指すためにはいかに早くCPAに気が付くことができるかが大切となってくるのです(゚д゚)!
ポイントはA・B・C
CPAの評価は以下の3つのポイントで行います。
- A:airway 口腔内の異物等を目視確認。また開口の抵抗性で意識の有無を確認。
- B:breathing 胸壁の動きや胸部の聴診により確認
- C:circulation 股動脈圧や心尖拍動を触診で確認
そしてこの3つの評価を10秒以内に行います!!
もしもこの時に10秒では判断ができず迷ってしまう様な場合は、とにかくCPRを開始しましょう!
先ほどもお伝えしたようにCPRは遅くなるほど蘇生率が低下します💦
迷っている暇があるならとにかく処置を開始しましょう(`・ω・´)!
ただし、注意してほしい点があります。
それがCの股動脈圧の触診による循環の確認です!
何故かというと、脈の触知というのは精度が実は低いということと、希望的観測からの偽陽性が確認されています(; ・`д・´)
ですからCPAを判断する際には股動脈圧は用いないようにしましょう。
残りはAとBの評価ですが、Aは口を開き直接口頭部を確認します。喉頭鏡を使って挿管をする前に確認をしていきまうしょう!
そして次にBの評価ですが、これも1点注意してもらいたいことがあります。
それが死戦期呼吸です。
死戦期呼吸とは.以下のように定義されています
死戦期呼吸(しせんきこきゅう)とは、心停止直後の傷病者に見られる、しゃくりあげるような呼吸。現場や救急室では「ギャスピング」ということが多い。
死戦期呼吸は正常の呼吸とは違い、顎が動いているだけで胸が動いておらず、肺での酸素化ができていない。そのため、呼吸をしていない傷病者と同様に処置する必要がある。しかし、医療関係者以外が見分けることは難しく、呼吸していると判断されてしまうことが多い。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%BB%E6%88%A6%E6%9C%9F%E5%91%BC%E5%90%B8
つまり見た目は呼吸をしているように見えても実は換気ができていない状態なのです!!
この死戦期呼吸を見誤って「呼吸はできているから大丈夫」と判断してしまうと手遅れになってしまいますので、死戦期呼吸がどういうものなのか確認をしておきましょう。
どの雑誌だったかは忘れてしまいましたが、動画で確認できるような付録のついたものもあった気がします( ;∀;)
CPAか迷ったら…
動かないけど、ただ横たわっているだけにも見えるし…呼吸もしているようなしていないような…
なんてじっくり観察をしているとあっという間に15秒が経ってしまいます( ゚Д゚)!!
そんな時はとにかくCPRを開始しましょう!!
ヒト医療の研究でCPAではない患者に対してCPRを実施した時の有害事象は
- 不快感・・・12%
- 肋骨骨折・・・2%
- 内臓損傷・・・0%
なんと早まってCPRをしてしまったとしても、それが原因で危険な状態に陥るということはほとんど無いという結果が出ています。
むしろ、早まって行ったCPRよりも、手遅れとなったCPRの方がリスクとしては大きいということなのです(`・ω・´)!
結論としては、CPRが必要か迷うのであればCPRを開始しましょうということです!!
さぁCPR!でもその前に…
ではCPAの判断も付き、さっそくCPRを実施していこうと思うのですが…
その前に大事なことが実はあります!!
それは人手を確保することです(`・ω・´)!!
CPAを確認したらとにかく時間との勝負です。人手が足りなければ同時にできる処置は限られてしまいます。そして処置が遅れれば遅れるほど蘇生率は低下していってしまいます💦
BLSを行いながらALSも同時に行うことを考えるとできれば7人くらい人手が欲しいところです(´・ω・`)
しかし、その数を集めることのできる病院さんは数少ないと思います。ですのでできる限り多くの人を集められるようエマージェンシーを病院中に伝えられるよう周知を行いましょう!
また声を出して院内に周知することで待合で待機している患者さんも何かしらの緊急事態だということに気づいてくれます。
そうすることで処置により待機時間が長くなったとしても患者様からの理解も得やすくなります(∩´∀`)∩
たとえ間違いであったとしても恥ずかしいことではありません(=゚ω゚)ノ
手遅れになるよりも何倍もマシですので自信を持って大声を出しましょう!!w
まとめ
非常に長くなってしまったため続きは別の記事にさせていただきます(・∀・)
今回のポイントはこちらです↓↓↓↓
- CPAの判断は15秒以内!迷ったらCPR開始!!
- まずはROSCを目標に!
- 股動脈圧は判断材料としない!
- 死戦期呼吸は呼吸できていない!
- 声を出してできるだけ人を呼ぶ!
この5つのポイントは必ず押さえておきましょう!
続きのこちらも見て一緒に勉強しましょう(=゚ω゚)ノ
それでは!
See you next time!!(´ω`*)
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