みなさんの動物病院では帝王切開はどのくらいの頻度で行われていますか?
実はこの帝王切開は非常に地域差が大きいのです(`・ω・´)!
そこで帝王切開を数多く行っている病院に勤めている僕が、帝王切開を行う際に知っておいてほしい5つのことをご紹介します👍!
今の職場であまり帝王切開の症例が来ない場合はもちろん、転職を考えていて次の職場で恥をかかないようにするためにもここで帝王切開の時のポイントを押さえておきましょう!!
知っておきたいポイント5つ
帝王切開で動物看護師として知っておきたい5つのポイントはこちらです!
- 蘇生時は振らない!
- 臍帯の結び方
- なかなか蘇生しない時の対処法
- 胎盤の処理
- 新生仔のcheck
この5つのポイントさえ押さえておけば、いつ帝王切開に遭遇しても慌てる必要はありません。
それではこれらのポイントを詳しく確認していきましょう(=゚ω゚)ノ
ポイント0:麻酔管理
さっそく5つのポイントには入っていませんが、これも非常に重要です。
帝王切開をするにはもちろん全身麻酔が必要になりますので麻酔管理はしっかりと把握しておきましょう。
しかし、帝王切開だからすごく特殊な方法という訳ではないので「知っておきたいポイント」には入れていませんが、最低限知っておいてほしいことがあります。
それは「麻酔の時間はできるだけ短く!」ということです。
ここでポイントになる麻酔時間とは、導入~新生仔を取り出すまでの時間のことです。
麻酔は母親を経由して胎仔にも影響します。
ですから、導入~新生仔を取り出すまでの時間が長くなってしまうと新生仔の蘇生が大変になってしまいます💦
毛刈りはできる限り導入前に済ませておき、麻酔時間を短縮できるよう心掛けていきましょう(・∀・)
それ以外に関しては一般的な手術の麻酔と同様に管理をしていきます。
ポイント1:蘇生時は振らない!
以前はよく新生仔の口や鼻に入った羊水を出すために、新生仔を振って遠心力を使って羊水を出す方法が使われていました。
胴体と頭をしっかりと固定し、自分の腕を伸ばした状態で上から下に振るという方法です。
たしかにこの方法で羊水はよく出ます!
しかしリスクも高い方法なのですΣ(・ω・ノ)ノ!
1つ目のリスクは、新生仔に外傷を与えるリスクです。
手が滑って落としてしまったり、振った時に何かにぶつかってしまったり、遠心力で出そうとしているわけですから、勢いも結構ついています💦
そんな時に落としたりぶつかったりしてしまうと…考えるだけでも恐ろしいですよね。
2つ目のリスクは、脳震盪(のうしんとう)を起こすリスクです。
しっかりと頭を固定していたつもりでも少しずつズレていて、頭がグラグラと揺らされていたなんてこともあります。
ヒトの新生児でも「揺さぶられっこ子症候群」という病気があります。
新生児は頭蓋骨もまだくっついていないため細かく揺すると脳が頭の中で細かく揺さぶられ脳震盪を起こしてしまうのです💦
これは脳へのダメージになります。
犬猫の新生仔では蘇生中にこの症状はわからないかもしれません。
しかし、将来的なことまで考えて「振る」という蘇生方法は避けることをオススメします!
では、振らずにどうやって羊水を出させるのかというと…実は簡単です!
新生仔の頭を下に傾けて背中をさすっているだけでも勝手に羊水は出てきます(`・ω・´)!
あまりにも出続けたり、出てきているか心配という場合はサクションで吸ってあげてもよいですが、吸引が強すぎるのもよくはないので注意が必要です💦
僕は基本的に顔を下向きにして背中を擦って刺激し続けるだけです(=゚ω゚)ノ
時々出てきて羊水が口や鼻についているので拭ってあげるようにします。
あとは背中をトントン叩いてみたり、たまにはお湯につけてみたりと刺激を与えてみます!
ポイント2:臍帯の結び方
臍帯(さいたい)=へその緒のことです(・∀・)
結び方についてはざっくり言ってしますとどんな方法でも大丈夫です!笑
何故かというと、本来の自然分娩であれば母親が自分で臍帯を噛み切ります。
つまり止血や結紮なんて誰もしていないのです。
なので、極論を言えばどんな方法でも大丈夫ということです( ^ω^ )
手術で先生がやっている外科結びとか普通にヒモを縛るように2重に縛ったり、しっかりと結べていればOKです。
ではなぜ知っておきたいポイントになっているかというと、結紮方法ではなく結紮する場所がポイントだからです(゚д゚)!
この時に1番注意していただきたいのは飼主さんの意向です。
一般的な飼主さんであれば特にこだわりはないでしょうが、ブリーダーさんの場合はこだわりを持っている方も多くいます。
ブリーダーさんの帝王切開であればいつもどのくらいで結紮しているか聞くか、一緒にやってもらうと良いかもせれません(`・ω・´)
特に気にしないという飼主さんであればお腹から5㎜~1cmくらいのところで僕はいつも結紮しています。
とある産科の本には、1cm~2cm程残して結紮するという方法もありました!
この理由は投薬経路として臍帯から投薬できるようにという意味があるそうです(゚∀゚)!
ポイント3:蘇生しない時の対処法
蘇生処置を続けていてもなかなか鳴いてくれないなんてことがあります。
そんな時は様々な方法で新生仔を刺激してあげましょう!!
①薬を使う
難産が続いてしまい新生仔自体が弱ってきている場合はこの方法を第一選択にしても良いでしょう。
ボスミン
徐脈になっている時に使用。26G針等の細い針で舌下に1滴たらす。
犬の胎仔心拍は正常で170~230回/分と言われていますので、成犬くらいの心拍数だと徐脈と言えます。
ドプラム
呼吸促進作用があるため、なかなか呼吸をしてくれない場合に使用。26G針等の細い針で舌下に1滴たらす。
投与後はすぐに蘇生処置を開始します。
薬の選択や使用方法などは獣医師に確認をとりながら行うようにしましょう!
②刺激を変える
背中を擦っているだけでは不十分そうであれば別の方法で刺激を与えます。
例としてはお湯につける方法です。
低体温の解消にもなると思いますし、お湯さえあればできる方法なのでおすすめです(=゚ω゚)ノ
しかし、顔をお湯につけないように気を付けるということと、お湯につけた後はさすりながらしっかりと乾かすようにしてあげましょう(^O^)/
温める方法としてはドライヤーの風を当てるのもありです!
近づけすぎには注意しましょう。
③酸素をかがせる
口は動いてきているけど粘膜色が怪しい…という時は試してみると良いかもしれません(=゚ω゚)ノ
酸素を空気よりも重いので鼻の上からあててあげるようにすると良いでしょう!
酸素は火気厳禁ですので取り扱いや出しっぱなしには注意しましょうね(◎_◎;)
ポイント4:胎盤の処理
帝王切開では胎仔を取り出した後に胎盤を取り出します。
この胎盤は基本的に処分してしまって構いません。
以前は、母親に食べさせたほうが良いとされていましたが特に食べさせるメリットについてエビデンスがあるわけでもないのでわざわざ食べさせる必要はないと思います。
ただし、ブリーダーさんの場合は一言処分してよいか聞いておくようにしましょう!
ポイント5:新生仔のcheck
無事帝王切開も終わったら、最後に新生仔のcheckをしておくと良いでしょう(・ω・)ノ
checkする項目は以下の通りです。
- 雌雄の確認
- 後肢の狼爪の有無
- 口蓋裂の有無
- 体重
- その他
この新生仔のcheckは絶対ではありませんが、やっておくと非常に親切です!
特に口蓋裂は今後の成長に直結する部分でもあるので見ておくと良いでしょう(=゚ω゚)ノ
口蓋裂がひどいとミルクを誤飲したり、うまく飲むことができず大きくなれずに亡くなってしますことも多々あります。
あとは全身を見て大きな異常が無いかを確認します。
何か変わった様子があれば獣医師に報告しよく見てもらうようにしましょう(`・ω・´)ゞ
まとめ
帝王切開で知っておきたい5つのポイントはいかがだったでしょうか?
特に僕が押さえておいてほしいと思うのはポイント1の振らないことです!!
現在ではデメリットはあってもメリットはありませんし、揺さぶられっこ症候群は虐待ともいわれています( ;∀;)
赤ちゃんというの本当に繊細な生き物ですので取り扱いは注意をしましょう!
ちなみに帝王切開はカイザーと呼ばれるそうです!
来院予定となったら先生に「カイザーが来ます!!」と言ってみてはいかがでしょうか?
ポカーン( ゚д゚)
されるかもしれませんけどね!W
予定帝王切開であれば別ですが、難産による帝王切開は緊急手術となります。
いつ来ても正しく対応できるようポイントをまとめておきましょう(`・ω・´)!
それでは!
See you next time!!ヽ(^。^)ノ
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