めざせ!受付の達人~問診で気を付ける4つのポイント~

自習室

受付業務とは…
来院対応・電話対応・お会計や発注手配に業者対応。
病院によって様々なお仕事スタイルがあると思います。

そんな中でも動物病院では受付で必ずやるお仕事があります。

それは…

“問診“

たかが問診。されど問診。
この記事を最後まで読めば、獣医師から

「え!これ聞いておいてくれたんだ!助かるー」

とあなたへの評価がアップしちゃうかも!?

問診をするにあたって大事な4つのポイントをお伝えします!
これを読んであなたも問診マスターになっちゃおう♩

この記事は共同執筆者である愛玩動物看護師の『いのくちさん』が書いてくださっています(‘ω’)ノ
毎日何気なくおこなっている問診だからこそ、レベルアップして日々のお仕事に活かしていきましょう!!

by 管理人(KC)

問診マスターになるには?

人間の病院でも診察券を出したタイミングで行われる問診。

  • 本日はどうされましたか?
  • 前回の続きです
  • なんだか昨日から調子が悪くて…

病院での受付はこのような軽い問診で終わることがほとんどかなと思います。

だがしかし!

動物病院では当の本人(動物たち)は喋れません!

異変に気付いた飼い主さんは意外と慌てていることが多く、昨日が一昨日になっていたり、左手が右手だったり、受付では一口も食べないと言っていたのに診察室では「少しは食べます〜」と先生に伝えている…

こんなことはよくある事です。笑

まずは問診の心構えとして大切なことはこちらが落ち着くこと。

飼主さんと一緒に慌てても良いことなんか一つもありません。

その次は挨拶をする事。

大切な社会人としてのマナーです。

そしてゆっくり、ハキハキと問診をはじめます。

飼い主さんの情報と私達の知識、それらを擦り合わせて……

  • 今日の目的は何か?
  • 病気なのか?予防なのか?
  • 動物の今の状態はどうか?

などを考慮しながら問診できると良いですよね☆

特に以下の3つは新人~ベテランまで注意すべきポイントです。

  1. 飼い主さんにつられて慌てないこと
  2. 自分を過信せずメモを取ること
  3. 聞き取れなかった場合は必ず聞き返すこと

初めて受付に立つ人も、ベテランの人も 最初はみんなうまく問診なんてできませんよ〜( ^∀^)

私も最初はとんちんかんな事よく聞いてました
でも話していると段々と流れが理解できるようになってきます。

問診マスターへの第一歩は日々の努力から!

もし、問診が苦手という人は 積極的に喋って喋って喋りまくって経験値を上げていきましょう!

聞けばいいってもんじゃない!?

「昨日から下痢です」

よくある主訴だと思いますが、あなたならこの主訴に対して何と聞き返しますか?

  • 昨日のいつから下痢ですか?
  • 一昨日まではなんともありませんでしたか?

聞き方や聞く内容はいろいろ考えられると思います。

しかし、こんな細かなことばかりを聞いていたら日が暮れてしまいますね……

獣医師からすると「そんな事聞いてどうする」って感じぐらいだと思います。

正確な情報を的確に聞く

ん〜!!……難しいですね!!笑

しかし!ここからが動物看護師の腕の見せ所です!

例えば、先ほどの内容を聞き返すのであれば、

「一昨日まではなんともなく、昨日から下痢という事ですね。食欲や元気はありますか?」

という聞き返しができます。
これなら飼い主の主訴を反復で確認することができますね!

実は、反復確認はかなり大切です!

なぜなら…

  • 言った言わない問題
  • 本当に昨日からの出来事なのか?
  • それまでは変わりなく過ごせていたのか?

記事の最初にもお伝えしてように、飼い主の言っていたことがコロコロ変わるなんてことはよくあります。

そのため、反復確認を行うことで問診の正確性を高めるとともに、

「いや、やっぱり一昨日からだったかも?」

と飼い主が訂正してくれることがあるからです。

そしてこちらが知りたい情報も聞く!

これも大切な聞き取りになりますね!
むしろここでどれだけ重要なポイントを聞き出せるかが腕の見せ所なのです!

今は様々な動物病院があり、その病院さんによって様々な受付方法があると思います。 

  • なかなか受付でゆっくり問診なんてできない!
  • うちは軽く聞けば大丈夫だし…
  • 飼い主から「獣医さんに直接話すからいいわ!」と言われてしまった。

飼い主さんも受付で聞かれ、診察室で獣医師からも聞かれたら “何回言えばええんやねん!“
とツッコミを入れたくなるものです。

それでも、どんな動物病院でも
『今日の来院の目的を獣医師が何も知らずに診療に入る』
という事案は、獣医さんなら避けたいというのが本音です。

何でもかんでも聞けばオッケー!
ではありません。

問診も練習すれば上手くなります!
問診の聞き方次第ではその後の診療内容が良い意味で変わってくる可能性もあります。

もし問診をあまりしていない病院さんに勤めているのであれば、ぜひこれを機会に院長先生や獣医師の先生に、「問診をしてみてもいいですか?」と聞いてみてはいかがでしょうか?
何事も練習ですので、聞ける時間があるならどんどん聞いていきましょう!

受付で病気を決めないで

これ、実はとっても大切なことなのです。
問診中によくある事ですが…

・ネットで調べた
・以前も同じ症状だった

と、飼い主さんから言われると そうなのかな?
と思う事もあると思います。

でもそれをそのまま
「次の診察は初めて食べたおやつによる下痢です」
なんて獣医師に伝えたりはしませんよね( ̄▽ ̄)?

受付で私達は肯定もしなければ否定もしません。
病気とは診察した獣医師が治療した結果で決めることだと思っています。

“診断する“事は我々の仕事ではない
そこを間違えないようにしたい所ですね。

問診をする上では
“こちらが病気を推測しながら質問すること“
これが大切な考え方になってきます。

先程から下痢を例にだしていますが、下痢と言っても多種多様。

・食べ物
・ストレス
・腸内細菌の変化
・寄生虫
・子宮蓄膿症…など

書ききれないくらい、下痢をする病気はたくさんあります。

その中で必要なのが
最低限の聞き取り
となってきます。

そんな簡単に言わないでくれよ…
と思うかもしれませんが、要は最低限
【獣医師たちは何が知りたいのか】
を意識することが大切だと思います。

例えば…

①下痢はいつからなのか?

「〇日の夜から今朝にかけて△回、便は水様便と軟便を繰り返しています」
と細かく伝えられると良いですね!

②思い当たる節はないのか?
お散歩中の拾い癖や新しい食べ物、環境の変化など…
飼主さんの思い当たることはないのかも大事だったりします。

③食欲・元気はあるのか?
100が完食だとしてだいたいどれくらい食欲がありますか?
と聞くと飼い主さんも答えやすいかなと思います。

上記のようなことを問診で聞いておけると獣医師も頭の中で理解しやすく、事前に既往歴やカルテをチェックすることができます。

そこからさらに推測をたて、道筋を決めて診断・治療していくのは獣医師にお任せしましょう!

飼い主さんの言うことを鵜吞みにしてしまい、
『受付の子がストレスによる下痢だって言ってたわ』
なんて言われてしまわないように注意しましょう。

今の病院の現状を知る

これはまさに受付にいるあなたにしか分からないことですね!

待合室の混み具合、診察状況、検査待ちなどを考慮して飼い主さんに一声かけるだけでも 優しさと診療のスムーズ差が変わり、待たされるイライラも多少は減ってきます。(…多少…)

今出来ることは何かあるだろうか?
そう考え出すことがまずは最初の一歩です。

飼い主に声をかけるってどうすればいいの?
と最初は思うかもしれません。
でも、飼い主さんもきっと

・順番はまだかしら…
・予測でいいから待ち時間が知りたい…

と考えて不安になっているかも知れません。
飼い主さんもスタッフに声をかけたいけど、かけられない。
そう思っているかもしれません。

ならこちらから声を掛けてみませんか?

・◯◯さんの順番は次ですのでもう少々お待ちくださいね。

・△△ちゃんの状態は変わりありませんか?待ちすぎて疲れてないかな?

・ただいま診察が混み合っておりまして◯分程待ち時間があります。待合室でもお車でも待ちやすい所でお待ちくださって大丈夫です。順番が近づいたら呼びに行きますね。

など、声かけの工夫次第で
“イライラしながら待つ”から
“心にゆとりがある状態で待つ”に変わります。

私は病院に行くと必ず感じるあの
先が見えないひたすら待ち続ける時間
がとても嫌なので、せめて相手側に少しでも不快な思いをさせないようにと考えて声かけをしています。

さて、これで終わりではありません。

・今待たせているのは何人か?
・次の診察は始まりそうかな?
・検査が溜まっていそうだな など

周りを見渡せる場所にあなたはいるので、今度は病院側・獣医師側のサポートの出番です!

例えば・・・
▸主訴が下痢に嘔吐に食欲不振という患者さん。しかも陰部から膿が出ているので、血液検査やエコーの準備をしておこう。

▸〇〇ちゃんの状態が悪そうなので、待合室に出て一度状態の確認をしておこう。

▸診察以外に爪切りと肛門腺処置も希望の患者さん。トリマーさんの手が空いていたら先にお願いしよう。
などなど…

きっと動物病院によって様々な業務体制があるので何が正解かは一概には言えません。
しかし、大事なことは
まず自分で考えて動くこと
です!

これはどこの病院に行っても同じことだと思うので、受付が終わってぼーっとするのはやめて自分にできることを探してみましょう!

もちろん、膨大なお薬や会計業務に追われていると見渡せる余裕がなくなってしまうなんて気持ちもよくわかります(;´Д`)
そんな時でも冷静に対応できるようになれると素晴らしいですね!

動物病院はチームワークが肝になってきます。
1人じゃないって素敵な響き…♪( ´▽`)

例えばこんな状況・・・
今日は出勤しているスタッフが少ない…
重症な子も入院している。
なのに手術の予定も入っている…
そんな日に限ってめっちゃ混む〜!!!
( ;∀;)

そう。動物病院ではよくあることです。

ある程度スタッフ数や獣医師が確保されている職場でもマンパワーが足りないなんてザラにありますよね。

そんな時だからこそ、周りを見渡して冷静に病院を回していっている影の実力者になってみませんか?

「あれ?なんかスムーズに診察できているな」
「待たせていたはずなんだけど…?」
「洗濯がいつの間にか終わってる!」

こんなことは、すぐには出来ないことばかりかもしれません。
それでも少しずつ変えていきましょう!

変わってくれないことにイライラしていると周りにまでイライラが伝染して…終いには病院の雰囲気が悪くなる

悪循環の中で仕事をするのは疲れてしまいますよね。

何も出来ない自分が嫌になる前に “自分でも出来ること“を探して行動してみたら 案外上手く出来たりすることが多いように私は感じます。

受付専任のスタッフがいる病院もあります。
しかし、受付してそのまま診察室へ入り、保定・検査も回しバタバタと毎日追われているみなさん。
本当にお疲れ様です。
私はよく頑張っている!
と自分を褒めてあげてください!

まとめ

動物病院に来院した時に最初に出会うのが受付にいるあなたです。

そしていち早く動物の異変に気付けるのもあなたなのです。

以前、実際に私が体験したことで
「調子が悪そうだから…」
と言って来院した飼い主さんがいました。

いつも通り問診をしていましたが、その最中に急変。そのままCPR処置となってしまったのです。

あの時、先に動物を確認していたら…
改めて考えると受付という仕事は、
いち早く動物の状態の変化に気づける位置にいるという大切な役割だと言うことに気づきました。

来院した動物の状態を見て、声をかけるだけで変わってくることがあるということ。

笑顔でいることが大変な時もあるお仕事です。
しかし、スマートかつ無駄のない問診をすることが自分たちのレベルアップにもつながりますし、獣医師からも頼られる存在となるのです。

最後に今回ご紹介した4つのポイントのおさらいです☆

  1. まずは慌てない。相手につられてしまうと聞きたいことも聞けませんよ!
  2. 何でもかんでも聞かない。順序立てて問診する事で、頭で整理すると同じことだ〜ってなったりします。
  3. 診断するのは獣医師。私たちが勝手に病名を決めないように
  4. 君は1人じゃない!だけど受付にいる君にしかできないことを探してみよう。

今一度、自分の問診姿を振り返ってみることで 何か気付けることがあるかもしれません。

このブログを読んで改めて自分に足りないことはないのだろうか、自分にできることはなんだろうか。
そう考えるきっかけの一つになってくれればと思います。

私もまだまだ問診マスターへの道のりは長そうですが、今の私には何ができるのか?
常にそう考えながら精進したいと思います。

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