今回が第2弾!!
心肺蘇生のガイドライン”RECOVER”を基にしたCPRの手順を一緒に確認していきましょう(=゚ω゚)ノ
このブログを見ればあなたもCPRマスターです(・∀・)!!
心臓マッサージ
まずは心臓マッサージ(胸部圧迫)から学んでいきましょう(`・ω・´)
なぜ胸部圧迫からかというと…
この胸部圧迫(心臓マッサージ)こそがCPRの基本であり、最重要項目と言っても過言ではない処置だからです!!
第1弾で学習した通り、まずCPAを確認したらBLSを実行します。そしてROSCするまで継続するものですのでスタッフ全員が胸部圧迫できるようにしておきましょう(`・ω・´)ゞ
第1弾をまだ確認していない方はこちらからご覧ください↓↓↓↓
胸部圧迫の効果は以下の3つです。
- 全身灌流(酸素化)の維持
- 換気(肺の収縮と肺血流改善)
- 冠血流の確保
1.についてはどれだけ的確に胸部圧迫ができたとしても健常時の30%がMAXだとされています。
3.については圧迫を解除した(胸を押していない)時に心臓への血流が確保されます。
1つの処置でこの3つが改善するだなんてすごいことですよね(゚д゚)!?
それだけ胸部圧迫(心臓マッサージ)は重要ということなのです👍!!
質の高い胸部圧迫とは?
質の高い胸部圧迫の条件は以下の6つです。
- 圧迫回数:100~120回/分
- 圧迫時の深さ:胸郭の1/3~1/2程度
- 正しい姿勢で掌底で確実に圧迫する
- 圧迫間は完全に胸郭を拡張させる
- 2分間は絶対に中断しない
- 実施者は2分ごとに交代する
正しい姿勢
胸部圧迫時の正しい姿勢とはどういう姿勢かというと、
- 肘は曲げない
- 肩は圧迫する手の真上になるようにする
- 腰を少し曲げた状態で上半身を使って圧迫する
- 両手を重ねて組み、手のひら(掌底)で圧迫する
肘を曲げてしまうと腕の力だけで圧迫することとなり、しっかりと圧迫することができません。そのため手のひらの位置からまっすぐ上に肩が来るようにし、体で体重を使って圧迫するようにしましょう(=゚ω゚)ノ
正しい姿勢をキープするためにも胸部圧迫時は踏み台を用意しておくようにしましょう!
猫や小型犬の場合は片手で圧迫してもOKです!
立った姿勢であありませんが手の使い方は参考になるHPがありましたので参考にしてみてください(・ω・)ノ
https://petlives.jp/love-dog/18741
PetLIVES(ペットライブス)
https://petlives.jp/love-dog/18741
圧迫の方法
圧迫の回数としては100~120回/分を目標に行いましょう!
心電図をつけていれば確認もできますが体動も反応してしまいすので、モニター無しでもできるようにしておきましょう(`・ω・´)
イメージは1秒間に2回弱です。100~120bpmの曲を脳内再生しながら行うとやり易いと思います!w
例はゴーストバスターズやドラえもん(あんなこっといいな…のやつ)、あんたがたどこさ、アンパンマンのマーチなどがありますのでお気に入りの1曲で試してみてください(=゚ω゚)ノ
圧迫の深さは胸郭の1/3~1/2程度です。
「そんなに深くやって大丈夫?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
でもこれぐらいやらないと心臓を十分に圧迫することができないのです!!
特に胸部圧迫の際は肋骨が折れてしまうことがあります。
でもそれは悪いことではありません(`・ω・´)!
肋骨は元々構造上から折れやすい物なのです。CPA時には命より大切なものはありませんので肋骨が折れてしまったとしても胸部圧迫は続けましょう!
基本的に横臥位で胸部圧迫は行いますが特例の場合があります!
それが樽型の胸を持つ犬種です。
例えばブルドッグやフレンチブルドッグ等がこのタイプです!
この犬種たちは横臥位ではなく仰臥位で胸部圧迫を行います。そのほうが効率よく心臓を圧迫できるのです(`・ω・´)ゞ
ポンプ理論
胸部圧迫には2つの理論が存在します。
体格によって使い分けるとにより効果的な胸部圧迫をすることができます(゚∀゚)!
①心臓ポンプ理論
この理論は心臓を直接圧迫する方法です。
掌底を心臓の真上(腕を曲げた時にちょうど肘が来る部分で腹側から1/3くらい)におきます。
心臓を直接圧迫することで、圧迫時に心臓内圧が上昇し全身に血液が送り出されます。
そして解除時に心室内と冠動脈に血液が流入することができます!
この方法は主に小型犬や猫、胸の深いタイプの大型犬(ボルゾイやアフガンハウンド等)に適しています(*^^*)
②胸郭ポンプ理論
この理論は心臓ポンプ理論とは異なり、直接心臓を圧迫するのではなく胸全体を圧迫することで血流を改善させる方法です。
掌底は胸部の一番高いところにおきます。
圧迫時に胸腔外に血液が流出し、解除時に胸腔内に血液が流入してきます!
この理論では心臓はポンプとしてではなく導管の役割をしているということになるそうです(゚д゚)!
この方法は主に中~大型犬に適しています👍
2分間は中断しない!
胸部圧迫は開始したら必ず2分間は継続するようにします!
胸部圧迫を開始することで循環血流が上昇し動脈血圧が上昇します。そして最低限維持しておきたい動脈血圧になるまでにはおよそ60秒かかるのです。
しかし、一旦胸部圧迫を中止してしまうと再度動脈血圧を上昇させるにはまた60秒必要となります💦
そのため1分毎に中断してしまっていると最低限必要な血圧を維持することができなくなってしまい、胸部圧迫している意味が無くなってしますのですΣ(・ω・ノ)ノ!
ですから2分間は最低でも胸部圧迫を継続し、中止する時間は5~7秒以内にしましょう!
心臓マッサージのまとめ
心臓マッサージ(胸部圧迫)のポイントは以下の4つです!!
- 正しい姿勢で正しい回数おこなう
- しっかり圧迫ししっかり解除する
- 体型に合わせた適切な方法でおこなう
- 2分間は止めない&2分毎に胸部圧迫者を交代する
胸部圧迫は圧迫ももちろんですが解除をすることも重要です!
しっかりと解除することで心臓に血液が流入し、再度圧迫した時の血流量を維持することができます(=゚ω゚)ノ
そして、正しい方法で2分間胸部圧迫を続けていると結構しんどいです💦
疲労してくると胸部圧迫の質も低下してしまいますので2分毎に交換できると良いでしょう!
ETCO₂が>15mmHgに達していない場合は方法が誤っている可能性がありますので、その時は方法を再度確認しましょう(`・ω・´)!
呼吸管理
次はCPR時の呼吸管理についてです。
すごく大事そうな内容ですが、実はヒト医療ではCPR時の呼吸管理というのはあまり重要視されていないのです(゚д゚)!
それは何故かというと、ヒト医療の場合は
- 心原性CPAが多い
- 気管挿管が困難
- 感染症のリスクがある
という3つの理由からそれほど重要とはされていません!
しかし獣医療での犬猫の場合は
①非心原性CPAが多い
呼吸停止による低酸素→心停止
②気管挿管が容易
横臥位で胸部圧迫しながらでも気管挿管が可能
そのため獣医療においては呼吸の管理が極めて重要とされています(`・ω・´)!
BLSの場合
病院外や気管挿管ができるまでの応急処置として
マウストゥスナウト(口-鼻)人工呼吸
というのがあります!
これは頸部を伸ばしながら口を閉じ、鼻先から素早く息を吹き込む方法です。
胸部圧迫30回に対して2回連続で行うようにしましょう(=゚ω゚)ノ
ただし、これはあくまでも応急処置としての方法ですのでご注意下さい!
ALSの場合
院内で気管挿管できる場合は速やかに気管挿管を行いましょう!
気管挿管が完了したら以下の数値を目標に人工呼吸を行います。
- 1回換気量:10ml/kg
- 換気回数:10回/分
- 吸気時間:1秒
人工呼吸器がある場合は上記の設定で人工呼吸器を開始しましょう。
ROSCするまでは100%O₂を使用します。
呼吸管理のまとめ
獣医療では呼吸管理は重要ですのでとにかく胸部圧迫と呼吸管理は迅速に開始しましょう!
気管チューブはとりあえずいろんなサイズを用意します(゚д゚)!
合わなかったらすぐ替えられるようにしておきましょう。
呼吸管理では低換気でも過換気でもよくありません💦
低換気であれば動脈血中のCO₂が上昇します。その結果末梢血管が拡張することにより、肺や心臓への血流量が低下し脳圧が上昇してしまいます。
過換気では逆に動脈血中のCO₂が低下します。その結果末梢血管が収縮することで、胸腔内圧が上昇したり、心拍出量が低下、脳虚血となり自発呼吸が抑制されてしまいます💦
特に手動でバギングして呼吸管理を行う場合は過換気になりやすいので注意が必要です(; ・`д・´)
話は脱線しますが、人工呼吸器の使い方を詳しく知りたい方はこちらを参考にしてください(・ω・)ノ
投薬ルートの確保
胸部圧迫と呼吸管理ができたら次は投薬ルートを確保します(`・ω・´)ゞ
投薬可能なルートはいくつかありますがCPR時に洗濯する基準は…
- 確実に投与できること
- 素早くルートが確保できること
- 確保時に胸部圧迫の妨げにならないこと
この3つの基準で投薬ルートを選択します。
診療でよく行っている皮下注射や筋肉内注射はCPA時は末梢循環がかなり乏しくなっているためあてにはなりません💦
そのため以下の3つのルートが推奨されます!!
静脈
首の頚静脈や前肢の橈側皮静脈、後肢の伏在静脈がルート確保しやすいです!!
この中でも心臓に近い位置で確保できることが理想であるため…
- 頚静脈
- 橈側皮静脈
- 伏在静脈
の順でチャレンジをします。(人手があるなら複数個所を同時にチャレンジします!)
しかし現実は、胸部圧迫をしながらだと患者の身体も動くため…
- 伏在静脈
- 橈側皮静脈
- 頚静脈
の順でチャレンジすることが多いですね!
1と2はあまり差はありませんが後肢の方が胸部圧迫の影響を受けにくいので確保しやすい場合があります(゚д゚)!
CPA時は末梢循環がかなり乏しくなっているため血管も分かりづらいです💦
そんな時は皮膚のカットダウン(切皮し目視で血管を確認する方法)もためらわずに行うことが重要です!
メス刃や18G針の先で切皮しますので常に用意できるようにしておきましょう(`・ω・´)
ルートを確保できていざ投薬となったら生理食塩水を20ml程シリンジで用意しておきましょう(=゚ω゚)ノ
何度もお伝えしている通り末梢循環が悪いため薬を入れただけではなかなか薬が循環してくれません!そのため10~20㎖ほどの生理食塩水でフラッシュすることで薬が速く効いてくれます。
骨髄
静脈がどうしても確保できない場合などに選択されます。
特に新生仔やフェレットなどは手足が細すぎるため実施されることがあります。
場所は上腕骨や大腿骨、脛骨などが骨髄留置可能です。
骨髄針や18Gの通常の針、骨髄ドリルを使用します。
気管
どうしても静脈や骨髄が確保できない場合に考慮する投与ルート。
気管チューブよりも長いカテーテルを用意することと、薬剤の投与量は静脈注射での投与量の2.5~10倍も必要になります(; ・`д・´)
また投与できる薬剤も制限があるため、あくまでも静脈または骨髄が確保できるまでのつなぎであることに注意しましょう!!
投薬ルート確保のまとめ
とにかくまずは静脈からチャレンジしていきます!
CPR時の時は特に駆血は必要ありません!
なぜなら駆血したところで循環が悪いため血が巡って来ず怒張しないからです(=゚ω゚)ノ
しかし、胸部圧迫による体動などで保定を必要とはしますので忘れずに!
そして留置を複数個用意し、薬剤も準備しながら生理食塩水も10ml/kg程用意するようにしましょう(`・ω・´)ゞ
このフラッシュが有ると無いとでは大きな差がありますので必ず用意するようにしましょう!
※ヘパリン加生理食塩水ではなくてただの生理食塩水ですのでご注意下さい(゚д゚)!!
まとめ
今回はCPRの手順を確認しました。
結構長くなってしまったので続きは次回のお楽しみにします(´∀`*)ウフフ
ここまでたくさん文字を書いて説明してきましたが、実際にCPAの患者が来院されたときはここまでを2分以内には完了したいです!遅くても次の2分以内には完了したいです(`・ω・´)!
つまりこれまでの手順を1つ1つ丁寧にやっていたのでは間に合いません!!
人を呼びすべてを同時進行するぐらいの気持ちが必要です(・ω・)ノ
次回はモニタリング~投薬や除細動などについて学んでいきたいと思います!
「薬や除細動は獣医師が確認すればいいのでは?」と思われるかもしれんせんがそれは違います!CPRを行っているチームみんなで確認し判断する必要がありますので動物看護師の僕たちも知識として覚えておきましょう!
細かな心電図を読み取るという訳ではありませんのでご安心ください(`・ω・´)w
続きはこちらからどうぞ(=゚ω゚)ノ
それでは!!
See you next time!!m(__)m
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